第1回 熱供給事業あり方・特別委員会議事要旨

第1回 熱供給事業あり方・特別委員会議事要旨

1.日時

平成15年4月22日(火)15:00~17:00

2.場所

東海クラブ「阿蘇」の間

3.出席者

委員

藤原委員長、高橋副委員長、鳥居委員、佐土原委員、下田委員、渡辺委員、茅野委員、大野委員、原口委員、廣瀬委員、安田委員、(江藤委員は欠席)

オブザーバー
(経済産業省) 都築課長補佐、二宮課長補佐(本多室長代理)、田中課長補佐、岩切課長補佐
(国土交通省) 笠原企画専門官
(地方公共団体) 佐野課長(東京都)、浅野課長(札幌市)、(渡辺課長は欠席)
事務局

小西、小久保、内山、勢子、和田、長屋、大脇、田中、山本、足立、平尾、福島、青笹

4.議事

  1. あいさつ

    小西専務理事より、熱供給事業あり方特別委員会の開催にあたっての挨拶が行われた。
  2. 委員紹介
    事務局より、委員が紹介された。
  3. 会員への公開について
    事務局より、特別委員会の会員への公開等についての原案を説明し、了承された。
  4. 配付資料の説明および質疑応答
    事務局より、特別委員会での検討内容、地域冷暖房事業の概要等に関して資料を説明後、以下の質疑応答がなされた。
    • 未利用エネルギー を活用する場合、熱供給事業に必要なエネルギーを全てまかなうことができるのか、また、 未利用エネルギー を活用することで必要な投入エネルギーをどのくらい節約できたのかとのデータを示して欲しい。
    • 阪神淡路大震災時に、地域冷暖房へはどのような影響があったのか。
    • 全国の地域冷暖房で活用する 未利用エネルギー 量がどの程度の割合になるのかとの積算データ、 未利用エネルギー 活用のために必要なエネルギー消費について示して欲しい。
    • 固定費の割合が非常に大きいとの点に関して、その比率を提示して欲しい。また、 基本料金 の割高感に関して、平均的な姿として 基本料金 による収入割合も提示して欲しい。
  5. 特別委員会の進め方について(自由討議)
    藤原委員長より、都市のエネルギー供給システムのとのキーワードに対して、委員各位のイメージ、ビジョンなどの意見をもらいたいとの説明があり、自由討議が行われた。
    • 地域冷暖房が様々な問題を抱えていることはわかった。今後の議論に向けては、技術的に避けることができない課題、現状の仕組みを改善すればよい課題、より大きな枠組みを変更すべき課題などの整理、メリットについても主体別に整理するなどして、委員会の目的を絞った方がよい。地域冷暖房は社会資本として整備すべきであり、公の介入も必要だと考える。また、然るべきコストは然るべき主体が負担しているルールをどうすれば作っていけるかなど、段階的に議論を進めた方がよい。
    • 外部効果が大きな事業ではそのままでは事業は発展せず、何らかの措置が必要となる。事業者とユーザーの取引でのメリットと外部効果については分けて整理し、このような効果があるから措置が必要だとの整理が必要である。また、地域冷暖房はネットワーク形態から取引コストが高くなる恐れがあるが、その問題がいろいろな所に現れてきているのではないかとの印象を持つ。
    • 地域冷暖房には 未利用エネルギー やコージェネ排熱などを活用するために、地理的・時間的なギャップを埋めていく重要な特性を持ち、その効果を最大限に活かしていくかが技術的な課題となる。一方、熱供給は 導管 コストや搬送動力などから適正な規模、密度で形成していく必要がある。また、エネルギー市場の自由化のなかで、全体のシナリオに対して地域冷暖房がどのような役割を果たしうるかとの整理ができると良い。
    • 地域冷暖房は、需要(建物)側に密着しており、都市計画や建物の立地等がうまくいかなければよいシステムとはならず、事業地区ごとにバックグランドが異なる。地域冷暖房全般でのメリット等を整理するのは難しくなってきており、防災性や省エネルギー性など平均像での議論ではなく、トップランナーのシステムを評価、PRしていくべきである。また、現在あるものを活用していく視点も重要であり、エネルギー管理の面で地域冷暖房は建物の省エネルギーを引っ張っていくポテンシャルがある。
    • 熱供給事業が非常に意義があるとの点はおそらく誰しも異論はない。都市のエネルギー供給システムの将来像には、水素エネルギー利用も提案されている。地域冷暖房は、現時点でも他のエネルギー源や単体建物との競争関係にあり、地域冷暖房でもどの燃料を使うかの競争がある。また、将来的にオンサイト的なネットワークが補完し合うようになるのか、エネルギー市場の垣根が低くなるなかで、地域冷暖房という事業形態のみで生き残ることができるのか、場合によっては電気と熱のセットとした方が、サービスの特性、価値が高まるのではないか。現行の熱供給事業に制約があるならば、構造改革特区で実験的に取り組むことも一案である。
    • 地域冷暖房は設備費用が非常に大きい事業であり、競争のためには固定費の部分をいかに下げていくかが重要になる。様々なコストの中で、建設費を引き上げている要因は何かとの議論も必要である。最終的には、都市や国等が環境対策として利益を受けるので、国等の費用で資本費を引き下げるような工夫がどの程度必要か、現状の支援策が十分かどうか検討していただきたい。
    • 地域冷暖房は国家的に推進していくべきであるが、現在直面する問題は経済性にある。トータルコストでは、地域冷暖房が個別方式に比べて優位だと考えられるが、需要家からの批判はランニングコストのみで比較されている。下水道はその処理には相当のコストを負担しており、地域冷暖房として地球環境や資源の有効利用などへ対応するためには、仮にコストが高くても事業を推進すべきではないか。事業者側でも技術開発や効率的なエネルギー利用等の取り組みを進めるべきであるが、都市のインフラとして社会的に認知していくも必要である。
    • 最終的なビジョンとしては、都市排熱や 未利用エネルギー の有効活用、さらには熱供給事業どうしのネットワークにあるのではないか。そのためには現在の形態の地域冷暖房を増やしておかないと、有効に活用できる受け皿がない。委員会では論点を絞っていかないと発散した議論になる。コスト競争、エネルギー自由化のなかで、何を競争相手として考えるべきかとの意識合わせをしておいた方がよい。
    • バブル期には地域冷暖房のスペースメリットが高い評価を受け、加入が進んだので、自ずとコストもあがってくる。現在のデフレ下では、スペース価値が下がり、料金を下げて欲しいとの要望につながる。こうした社会情勢の変化も考慮すべきである。地域冷暖房のネットワークに価値があるかどうかが事業成立の鍵となる。現在は難しい状況だが、ネットワークのコストを下げる努力、アイディア、施策が講じられるとよい。
    • 熱供給事業者90社のうち、約8割が1地点1事業者であり、事業規模が小さいことから、事業拡大をしたくてもできない事業者も多い。こうした現状から、都市のエネルギー供給システムの検討も重要であるが、全事業者の共通事項ではない可能性も点も考慮して欲しい。
    • 事業者としては、加入メリットとして外部効果も説明するが、加入判断は一般的な商取引のメリットのみとなっている。外部効果を今後どのような形で措置していくのか。 未利用エネルギー の今後の活用は、熱供給の側から考えるべきなのか、あるいは別の視点から考えていくべきなのかとの点も検討いただきたい。都市のエネルギー供給システムの最適システムとは何か、現在の地域冷暖房事業のなかでの最適システムの例、何をもって最適システムとしているのかなどを提示してもらえると、事業者として今後の進むべき方向が明確となる。
    • 本日の委員からのご意見、ご提案を事務局で受けとめて、ディスカッションペーパーを作成して、第2回委員会では詰めた議論をしたい。最終的には大所高所の議論、現実の事業者の抱えている問題への施策・指針等も検討していくことになる。
  6. 次回の予定
    第2回委員会は5月22日(木)15:00~17:00(於:虎ノ門パストラル)の予定

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