地域熱供給(DHC)とは

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~地域熱供給の更なる発展に向けて~事例紹介

新しいまちづくりに向けた取り組み(TAKANAWA GATEWAY CITY)
  • 東日本旅客鉄道㈱は、㈱JR東日本ビルディングと東京ガス㈱とともに、TAKANAWA GATEWAY CITYにおけるエネルギー供給・エネルギーマネジメントを行うことを目的に㈱えきまちエナジークリエイトを設立。
  • TAKANAWA GATEWAY CITYでは、先進的な環境・エネルギー技術を取り入れた街づくりを目指し、多様な再生可能エネルギーを活用するほか、将来の水素社会の実現に向けた燃料電池や食品廃棄物を活用したバイオガスシステムの導入に取り組んでいる。ビルインタイプのバイオガスシステムの導入は、東日本エリアで初であり、生ゴミを減容する過程で生成されるメタンガスをボイラで活用し、街区内でのエネルギー循環を目指している。
大都市における脱炭素モデルの構築(横浜市)
  • 令和4年にみなとみらい21地区が「脱炭素先行地域」に選定され、横浜市と一般社団法人横浜みなとみらい21が主導し、みなとみらい21地区の参画施設とともに公民連携で大都市における脱炭素モデルの構築に取組んでいる。
  • みなとみらい21中央地区の熱供給を担う「みなとみらい21熱供給」もその1施設として参画しエリア内にある日本最大規模の地域冷暖房における熱の低・脱炭素化に取組んでいる。
【横浜市の主な取組と取組全体イメージ図】
  • エリア内施設の屋上や、エリア外の公共施設の未利用スペースに太陽光発電設備を設置し、創出された再エネ電力の供給等による電力の脱炭素化
  • 徹底した省エネや地域一体となったエネルギーマネジメントによる電力需給調整力の創出など
  • エリア内にある日本最大規模の地域冷暖房における熱の低・脱炭素化
  • 飲食店等で生じる食品廃棄物やペットボトルのリサイクル等による資源循環の推進
  • 市民・事業者一人ひとりの脱炭素化への行動変容を促すイベント等の実施

脱炭素選考地域とは、2050年カーボンニュートラルに向けて、民生部門(家庭部門及び業務その他部門)の電力消費に伴うCO2排出(※)の実質ゼロを実現し、運輸部門や熱利用等も含めてそのほかの温室効果ガス排出削減についても、我が国全体の2030年度目標と整合する削減を地域特性に応じて実現する地域で、「実行の脱炭素ドミノ」のモデルとなる。

※民生部門のCO2排出量は、2030年46%削減の目標達成に向けて、家庭部門で66%、業務その他部門で50%と、他部門よりも、より一層の対策が求められています。このような中、民生部門の電力は、再エネなど今ある技術でCO2排出実質ゼロを実現する事が可能であることから、2030年に前倒しして民生部門の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロを達成することとしている。

地方都市における脱炭素モデルの構築(小諸市)
  • 小諸市では、安全安心で利便性の高いコンパクトシティ実現に取り組んでおり、市役所、病院などの集約・再構築においてエネルギーの面的利用によるエネルギー利用の効率化を目指している。
  • 同市は、令和5年に「脱炭素先行地域」に選定され、持続的で活気ある脱炭素の地方都市モデルの構築に取り組んでいる。
地域熱供給の特性を活かしたデマンドレスポンス
  • 太陽光発電等の分散型電源の普及に伴い、天候の変化によって電力バランスが不安定化したり、中間期に電力供給量が過剰になる等の課題が生じてきた。
  • このような電力需給バランスの不安定化を解消する方策として、デマンドレスポンス(DR)の導入が進められている。
  • こうした中で、熱供給は、大型の熱源・コージェネ・蓄熱槽等を保有し、かつ、常駐運転員による制御が可能なことから、DRの重要な担い手として注目されている。
DRとは
熱供給事業によるDRへの貢献
種類DR実施内容DR実施方法
上げDR1 コージェネDR発動時に、コージェネを停止する
2 蓄熱槽DR発動時に、電気熱源を起動し蓄熱する
3 熱源設備DR発動時に、ガス熱源から電気熱源に切り替える
下げDR4 蓄熱槽DR発動時に、電気熱源を停止し蓄熱槽から放熱する
5 熱源設備DR発動時に、電気熱源からガス熱源に切り替える
6 その他需要家との連携により、DR発動時に需要家の電力使用を控えるよう要請
全国DHCの調整力ポテンシャル(蓄熱槽の例)

蓄熱槽による調整力ポテンシャル
水蓄熱槽(冷水):541,818kWh
氷蓄熱槽:304,511kWh
合計:846,330kWh

熱供給事業者DR実施方法
北海道ガス2,3,4,5,6
丸の内熱供給2,4,5
虎ノ門エネルギーネットワーク4,5
立川都市センター4,5
浜松熱供給4
大阪エネルギーサービス実施予定

※「ERABハンドブック」(経済産業省HP)より引用 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/advanced_systems/vpp_dr/files/erab_handbook.pdf

2050年を見据えた視野 国内先進事例の海外展開による国際貢献の取組

  • 熱業界は、AIを活用した高効率熱製造システムや再エネ熱の有効利用システムの実装などの先進的取組の成果の海外展開を行う国際貢献の取組を視野に入れつつ、2050年を見据えた熱事業を推進する。
タイ王国バンコク中心部での同国初の都市型地域冷暖房事業
  • 本事業は、東京ガスエンジニアリングソリューションズが、バンコクの中心部ルンピニ公園に隣接する、タイ王国最大規模(約16.7ha)の民間再開発エリアに、同国初の都市型地域冷房センターを建設し、オフィス5棟、ホテル5棟、住居3棟、商業施設、芸術文化施設等で構成された計16棟への冷熱および電力供給を30年間にわたり一手に担うもの
  • 地域冷房センターは、最新技術により翌日の天気予報や過去の需要データから冷房負荷を予測し最新鋭の高効率冷凍機と蓄熱設備を効率的に運転することで、16棟の冷熱需要について、最適な供給を実現。また、エネルギー原単位の削減や雨水などの再生水の利用等に対して同国初となるLEED Neighborhood Development Platinum認証注3の獲得を目指しており、再開発のコンセプトでもある環境持続性の向上にも貢献

LEED:米国グリーンビルディング協会(USGBC:US Green Building Council)が開発および運用を行っている、建物と敷地利用についての環境性能評価システム。

<<Approach3

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