地域熱供給(DHC)とは

Approach1 最新技術の導入による省エネ・省CO2運転の取組

デジタル・AI活用熱製造システムの実装(EMS等)

  • デジタル・AIを活用した気象予測や需要側エネ消費予測等を行うことによる熱供給プラント運転の最適化・自動化需給連携による需要側のエネルギー消費を制御するDRの仕組みを組み合わせることにより、省エネ・省CO2に貢献していく。
分類事業者概要
熱源運転効率
による省エネ
丸の内熱供給
虎ノ門エネルギーネットワーク
関電エネルギーソリューション
AI最適制御システム
大規模熱源システム向けAI予測システム
負荷予測や制御等による熱源最適運転化
CEMS
による省エネ
北海道ガス
立川都市センター
三井不動産TGスマートエナジー
東京ガスエンジニアリングソリューションズ
自動デマンドレスポンス
利用者参加型エネルギーマネジメント
需要側BEMSデータの共有によるCEMS
レジリエンス等の
需要家側付加価値
東京ガスエンジニアリングソリューションズエネルギー効率の向上に加え、防災機能等の付加価値を創出し、都市の価値を向上
運用の省人化東京都市サービス
大阪エネルギーサービス
自動負荷予測と運転計画策定
センサー等による日常点検や検針の省力化
高精度デジタルツインモデル

デジタル・AI活用熱製造システムの実装(EMS等) 熱源運転効率による省エネ

丸の内エリア・大規模熱源システム向けたAI最適自動制御システムの導入 (丸の内熱供給)

業界初となる地域冷暖房プラントのエネルギー効率を向上する最適設定の自動化に成功

AI活用型「IEMS(統合エネルギーマネジメントシステム)」の導入(虎ノ門エネルギーネットワーク)

AIを活用した運転計画立案と制御、リアルタイムコミッショニングによるさらなる省CO2と運転管理業務の低減の両立

他機種の熱源機と蓄熱槽を有する施設における最適な運転計画の策定と実行(関電エネルギーソリューション)

混合整数線形計画法による目的関数の最小化による最適な運転計画を理論的に実現

デジタル・AI活用熱製造システムの実装(EMS等) CEMSによる省エネ

AIを活用したCEMSによる街区のエネルギーマネジメント (北海道ガス)

各建物や利用者のエネルギー使用情報をエネルギーセンターとリアルタイムで連携、CEMSを中心とした制御により、街区一帯の省エネを実現

需要側BEMSと供給側EMSによる統合CEMS(立川都市センター)

需要側BEMSと、供給側中央監視装置(EMS)を統合することで、低コストで機器制御システム(CEMS)を構築

日本橋エネルギーマネジメントシステム(NEMS)の他エリアへの展開 (三井不動産TGスマートエナジー)

コージェネや自己熱源設備だけでなく、既存ビルの熱源設備も含めた地域全体の熱源設備の最適運用を日本で初めて実現

デジタル・AI活用熱製造システムの実装(EMS等) レジリエンス等の需要家側付加価値

  • 熱業界において、工業団地内の複数事業所間で電力と熱(蒸気温水)を共同利用する事例は稀である。
  • 工業団地への熱供給では排熱利用による熱源の高効率化が期待される。また製造業は景気変動により需要が大きく変化するため、異業種間連携をすることで熱・電気需要が平準化され、より安定的な省エネ効果が期待される。
工業団地の需要集約・エリア全体のエネルギー管理・最適制御(東京ガスエンジニアリングソリューションズ)
  • エリア全体のエネルギー効率を向上に加え、防災機能をはじめとした付加価値を創出し、都市の価値の向上にも貢献する。
    • 熱と電気を地産地消するコージェネシステムを導入し、再生可能・未利用エネルギーを最大活用し、省エネおよびエネルギーセキュリティの向上を図る。
    • ICTによるエネルギーマネジメントにより、熱・電気・情報をネットワーク化し、エリア単位で最適なエネルギーシステムを構築する。
  • 産業分野の課題:エネルギー基盤の強靭化、低炭素社会のさらなる促進が求められた。
  • 栃木県の方針:2014年度に「とちぎエネルギー戦略」を策定。清原工業団地を対象とする循環型地域活性化モデルとして、総務省の「分散型エネルギーインフラプロジェクト」にてマスタープランを策定。
  • 事業者の連携:カルビー、キヤノン、久光製薬の3 社が、東京ガスおよび東京ガスエンジニアリングソリューションズと連携し、内陸型工業団地内の複数事業所間で電力と熱を共同利用する国内初の「工場間一体省エネルギー事業」として導入。

デジタル・AI活用熱製造システムの実装(EMS等) 運用の省人化

地域冷暖房向け、AIを活用した熱源自動運転システム「GDocⓇ- DHC」(東京都市サービス・高砂熱学工業)

地域冷暖房施設で安定稼働・省力化を確認、2030年度までに10施設導入予定

高精度デジタルツインモデルによる熱設備ソリューション「HEAT DX」の実証を開始 (大阪エネルギーサービス)

熱設備の運転・点検・保全までの全体業務を、デジタルツイン技術とIOTデバイスによるデジタルソリューションで最適化

  • 最新のAI技術により、熱設備の高精度デジタルツインモデルを構築
  • カメラ設置による日常巡回の作業負担軽減、作業員増員抑制
  • スマートカメラは2024年6月より運用開始、デジタルツインによる自動運転は未定
  • 今後はディマンドリスポンスの高度な対応や設備品質のさらなる向上などの新たな課題を解決する実証開始

エネルギーマネジメント、高効率設備導入等

  • エネマネ・高効率設備導入等の取組により、地域の持続的な冷暖房におけるエネルギー効率の向上やCO2排出量削減に貢献していく。
  • 具体的には、需要家を含めた関係者連携によるエネルギー管理体制、継続的な運用最適化の取組や熱源システムの構成や容量の最適化、最新の高効率設備、制御システムへの更新の取組を推進する。
エネルギーマネジメントの取組
分類事業者概要
エネルギー管理
体制・会議体
虎ノ門エネルギーネットワーク、東京都市サービス
東武エネルギーマネジメント
テナントを含む三位一体のエネマネ
コンサル、環境エンジニアリング会社との連携
統合型EMS活用のエネマネ体制
高効率設備導入、設備改修
分類事業者概要
熱源機器の更新
プラント全体構成
錦糸町熱供給、東武エネルギーマネジメント、浜松熱供給、
エネルギアソリューション・アンド・サービス
プラント内熱源機器を順次更新
容量比率を見直し
高効率熱源機器への更新六本木エネルギーサービス、新宿南エネルギーサービス、品川エネルギーサービス、地域冷暖房千葉、ハウステンボス熱供給、横浜都市みらい吸収式冷凍機をターボ冷凍機へ更新
熱源機器の更新
容量最適化
千葉ニュータウンセンター容量を最適化しつつ熱源機器更新
新しい熱源機器の導入福岡エネルギーサービス、池袋地域冷暖房インバータヒートポンプ導入
低負荷に有利な小容量ボイラーの導入
熱源制御の改修大阪エネルギーサービス、虎ノ門エネルギーネットワーク、丸の内熱供給増減段タイミングの変更
低負荷期における冷水の変温度・変圧力供給
診断のうえ延命措置
(更新見送り)
立川都市センター更新時期の熱源を劣化診断した結果をもとに延命措置
  • 関係者間の連絡体制を構築や、運用の合理化・最適化を通して、需要側へのサービス性能やレジリエンスの向上とともに、省エネルギーや脱炭素化につなげていく。
テナントを含む三位一体のエネマネ

テナント・需要家ビル管理者・エネルギーセンターが三位一体となった省エネ

  • 需要予測に基づき、状況に応じた省エネ運用(電力・熱のデマンドレスポンス)をビル管理者に依頼
  • ビル管理者がテナント毎の省エネを管理し、省エネ運用レベルに応じた制御を行うことで、全体のエネルギー最小化を目指す
  • 会議の頻度は月1回程度

虎ノ門エネルギーネットワーク資料より作成

需要家、コンサル、環境エンジニアリング会社とも連携
  • エネルギー会議を毎月開催
  • ビルオーナー・ビル運営管理者・ビル設備管理者と連携し、タウン全体のCO2削減策を検討
  • 2016年には事業者と設計コンサルティング会社および環境エンジニアリング会社等が一体となって年間プラントCOP1.35を達成

東武エネルギーマネジメント資料より作成

統合型EMS活用のエネマネ体制

監視制御統合型EMSと、需要家・熱供給事業・建物管理者の3者による効率運用と省エネ推進活動

DHCプラント設備の各種温度・圧力・流量・熱量を監視し、日々監視データの 分析・解析を行い、運用改善を図ることで、高効率運転を実現

東京都市サービス資料より作成

  • システムを構成する熱源機器のバランスを見直し、数ステップにわけて、順次機器更新して運転効率をあげている
  • 高効率なインバータターボ冷凍機の導入も目立つ
プラント全体熱源構成の更新

システムを構成する熱源バランス見直しを含めて、順次効率機器に更新

エネルギア・ソリューション・アンド・サービス資料より作成

浜松熱供給資料より作成

錦糸町熱供給資料より作成

高効率熱源機器への更新

吸収式冷凍機を高効率インバータターボ冷凍機に更新

六本木エネルギーサービス資料より作成

プラント全体の一次エネルギー消費量
▲912.4 kL/年

新宿南エネルギーサービス資料より作成

CO2排出量 ▲約6,200t

品川エネルギーサービス資料より作成

CO2排出量 ▲約630t

ハウステンボス熱供給資料より作成

ターボ冷凍機(1650→1700RT)

機器COP 4.8→6.0

地域冷暖房千葉資料より作成

吸収式2台→吸収式+ターボ冷凍機

吸収式冷凍機更新による省エネ効果

一次エネルギー消費量 ▲52.7kL/年

インバータターボ冷凍機導入による省エネ効果

一次エネルギー消費量 ▲158.8kL/年

横浜都市みらい資料より作成

新しい熱源機器の導入

インバータヒートポンプ(機器COP5.4)の導入

福岡エネルギーサービス資料より作成

多管式貫流ボイラーの導入

CO2排出量 ▲31.9t-CO2/年

池袋地域冷暖房資料より作成

熱源機器容量の最適化

吸収式冷凍機1800→1000RT 

 機器COP 1.24→1.57

千葉ニュータウンセンター資料より作成

  • システムを構成する熱源の運転効率を向上させるための増減段のタイミング変更や、供給冷水温度の変更
  • 運転効率そのほかの劣化診断による更新判断あるいは延命措置実施
熱源運転効率を向上させる運用・制御システムの更新
  • 冬季などの熱媒過流量制御システム(増段抑制)
  • 冷却塔切り替えシステム(設備稼働率の最適化)
  • インバータターボ冷凍機の増減段タイミングの変更

大阪エネルギーサービス資料より作成

  • 需要家と協議のうえ冷水供給の変温度変圧力制御

丸の内熱供給資料より作成

  • ターボ冷凍機の変温冷水供給

虎ノ門エネルギーネットワーク資料より作成

劣化診断と延命
  • 約30年を経過する吸収式冷凍機劣化診断を行い、性能(能力・COPほか)を維持していることを確認
  • 機器COPは定格通り発揮していた
  • 継続使用可能と判断し、延命措置を実施
  • 更新の場合に比べ大幅に費用削減した

立川都市センター資料より作成

CCUの導入に向けた検討(ボイラーからのCO2回収技術)

  • CCS・CCU・CCUSとは、CO2を分離・回収、貯留、利用する技術の総称で、2050年カーボンニュートラル実現に向けた取組として注目を集めている。
    CCS(Carbon dioxide Capture and Storage):「二酸化炭素回収・貯留」
    CCU(Carbon dioxide Capture, Utilization) :「二酸化炭素回収・利用」
    CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage):「二酸化炭素回収・利用・貯留」
Na-Fe系酸化物による革新的CO2分離回収技術の開発
  • エア・ウォーター(株)、戸田工業(株)、国立大学法人埼玉大学による「Na-Fe系酸化物による革新的CO2分離回収技術の開発」取り組みは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)グリーンイノベーション基金事業に採択されている。
  • ボイラ等から排出される高温・低圧・低濃度のCOを効率よく分離回収されれば、熱供給事業者の使用するボイラー設備での活用が期待できる。
  • 2025年、大阪・関西万博会場内にて燃焼排ガスからのCO回収実証(ご見学可)を行い、その後、2027年度の社会実装を目指している。
回収材のCO2回収性能向上、製造方法確立
排熱利用型CO2分離回収プロセス開発

Na-Fe系酸化物について

Na-Fe系酸化物とは、埼玉大学柳瀬准教授が発見したCO2を吸脱着する機能のある酸化鉄系材料「ナトリウムフェライト(NaFeO2)」を基本組成とするものです。「ナトリウムフェライト」は、鉄、酸素、ナトリウムが層状に配列する層状化合物で、燃焼排ガスや大気中に含まれるCO2を選択的に化学吸着し、120℃程度の加熱によって、分離回収できる機能を有しています。また吸着、分離回収を繰り返しても特性の劣化がないため、長期間の連続使用を想定したCO2固体回収材として利用可能です。このNa-Fe系酸化物を使用することで、従来のアミン溶液等のCO2回収材料と比較して、CO2吸収性能の向上、CO2回収エネルギーの低減が期待できます。

CCUの導入に向けた検討(研究開発計画:大阪・関西万博での実証事業)

2025年大阪・関西万博にて、本開発技術を用いたCO2分離回収の実証を実施

地域熱供給(DHC)とは

地域熱供給 バーチャル工場見学