第3回 熱供給事業あり方・特別委員会議事要旨

第3回 熱供給事業あり方・特別委員会議事要旨

1.日時

平成15年7月10日(木)14:00~16:00

2.場所

虎ノ門パストラル「マグノリア」の間

3.出席者

委員

藤原委員長、高橋副委員長、鳥居委員、佐土原委員、下田委員、渡辺委員、大野委員、
原口委員、市毛委員、安田委員、江藤委員(福田委員は欠席)

オブザーバー
(経済産業省) 松本係長、二宮課長補佐(立岡室長代理)、田中課長補佐、
岩切課長補佐
(国土交通省) 竹村係長(笠原企画専門官代理)
(地方公共団体) 佐野課長(東京都)、渡辺課長(名古屋市)(浅野課長は欠席)
事務局

小西、米澤、小久保、両角、勢子、和田、長屋、大脇、田中、山本、足立、平尾

4.議事概要

  1. 第2回特別委員会の議事要旨(案)の確認
  2. 第3回特別委員会の検討内容とスケジュールの確認
    事務局より、本日の委員会では、第2回委員会の検討内容について指摘等を受けて見直し、修正を行ったものを中心に検討いただきたい旨と、全体スケジュールについて説明。
  3. 第2回特別委員会のご指摘事項と今回の整理(案)
    事務局より、各委員から前回委員会で出された意見や指摘事項と、今回の資料への反映等の整理について説明。
  4. 配付資料の説明
    事務局より、「都市のエネルギー供給システムにおける地域冷暖房の位置づけ」について資料を説明。
  5. 質疑応答、討議
    • 個別と地域冷暖房について、順番に建物が建っていく場合など、時間軸も考慮した検討ができるとわかり易い。モデル的な分析でもよいので検討できないか。
    • 都市のエネルギー供給システムに求められる4つの要件では、エネルギー供給の効率化を重要視するのか。また、都市機能の向上に関して、個別方式と比較して快適性や利便性等の具体的な説明を追加した方がよい。
    • 個別方式が普及している背景には、エネルギーソース等が変化していくなかで、フレキシビリティが求められ、更新等が容易なシステムを選択する意識もあるのではないかとの点を盛り込む必要はないか。
    • エネルギー使用動向は需要特性を説明しているが、それらが要件にどのようにつながるのかを説明してほしい。
    • エネルギー使用の24時間化は利便性や消費者利益につながり、冷房需要の増大は利便性や環境負荷やエネルギー供給の効率化につながるなど、エネルギー使用動向は複数の要件につながる。また、消費者利益として、最近は消費者の選択がキーワードになっているので、追記されたい。
    • 民生業務用のエネルギー消費は、冷房用が増大しており、給湯用はそれほど大きくないと考えられるので、確認されたい。また、地域冷暖房の特性を活かす地域特性では、ヒートアイランド問題への対応も考慮して、大気汚染とともに、熱環境の悪化の点も追加されたい。
    • 2次側の設備の利用状況で地域冷暖房自体の効率が変わってくることもあり、エネルギー供給形態の記述で、熱の場合にはエネルギー利用設備が不要との記述は誤解を招く恐れがある。
    • 今後の地域冷暖房では、必ず 未利用エネルギー を活用すべきとの制約を受ける必要はないと考えられるため、資料全体の論調に配慮してほしい。
    • 実績からも、個別ではなく、地域冷暖房を採用することで環境問題に貢献でき、あわせて 未利用エネルギー やコージェネ排熱を利用できれば、さらに大きな貢献ができる。 未利用エネルギー を活用しなくとも地域冷暖房は成立し、これまでもお客さまなどの自由選択で選ばれてきている。
    • 地域冷暖房が普及した要因には、密度の高い地域でのスペースメリットがコスト高の部分を相殺してきた点があるが、現在のデフレ下ではこれに変わる支援などが必要である。
    • 建設費の約3割を占める地域 導管 コストが課題である。地域冷暖房の効用では高度な管理による部分が大きいとも考えられ、地域によってはIT技術を活用した集中管理などで 導管 コストを削減することが考えられる。 未利用エネルギー の活用でも 導管 整備が必要であり、事業収支を考えて場所ごとに選択することになる。
    • 地域冷暖房による省エネルギー・省コストの受益は需要家に帰属するが、需要家や事業者への受益以上に相当程度の社会的効用が見込まれる場合には、社会資本として位置づけることができるのではないかとの思いがある。
    • 社会的にみた視点と個々の事業としてみた視点は分けて議論すべきである。社会会計的に見た視点が必要であり、様々な効果について費用便益的な整理ができるとよい。全てについて費用便益を分析することは難しいと考えられるので、費用便益的な視点から全体の論旨を整理するとわかり易くなる。
    • 地域冷暖房では、熱源、 未利用エネルギー 、排熱なども含めて、都市のエネルギーの総合的な管理ができ、効率化が図れるとの点を前提として、効用を説明していくと、長期的にとらえた整理ができるのではないか。
    • ホールドアップ問題があると、物理的につながって効率化の可能性があっても企業がそういった関係に入ることを躊躇する、さらなる効率化への投資などの適正な投資が実現されないなどの問題が生じてしまう。地域冷暖房の場合、自由化された際の契約のあり方を工夫して、ホールドアップ問題に対処する必要がある点を認識されたい。
    • 都市計画のなかでは、全てが選択できるわけではなく、規制の考え方が入ってくる。環境問題や交通問題などの社会的問題への対応として公共の介入が必要な場合、社会資本としての性格と経済学的な考え方をどのように整理するのかを考えて欲しい。
    • これからの地域冷暖房のあり方を考えていく際に、どの程度の効率を目指していくのかを明確にしないと、社会的効用や費用便益を比較できない。平均的な姿で進めるのか、トップランナー方式で進めていくのかの議論が必要である。
    • 東京都における 未利用エネルギー 活用促進地区の範囲や、参考資料にある 未利用エネルギー 活用の限界距離は、それぞれ個々の事業としての値なのか、社会会計的な便益のでる値として示しているのか整理されたい。
    • 実態調査での総合エネルギー効率データを根拠にするのであれば、統計的な有効性があるとの資料を追加してほしい。
    • 地域冷暖房の一番の問題は経済性である。地域冷暖房の社会的効用は大きいので、経済性が劣る地区でも社会的な色々な仕組みのなかで、経済的に優位性が出せる形を作り上げる視点も必要である。また、現在の事業のなかでも、お客さまが離脱するなどの事業経営が苦しい地区もあり、それらをどのように支援していくのかも問題である。
    • エネルギー自由化のなかでも、民間ベースで地域冷暖房が成立する部分はあるが、20~30年先を考えたスケールの大きな地域冷暖房は都市計画上の位置づけがないと難しいのではないかとの点や、一般的な地域冷暖房であってもそれらが普及することで、都市的な排熱利用や 未利用エネルギー 活用などの受け皿となるなどの長期的な展望からの視点についても考慮されたい。
    • 省エネルギーを進めていくとの立場では、デメリットがある中でいかにデメリットを克服していくシステムを作り上げていくかが課題となる。そのため、メリット・デメリットの総合的な議論をお願いしたい。
    • 都市計画的には住宅にどのように地域冷暖房を導入しているかにも着目している。
  6. 次回の予定
    第4回委員会は9月2日(火)14:00~16:00の予定。

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