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「地域熱供給の長期ビジョン」の発表について

2020年2月3日
一般社団法人日本熱供給事業協会

 

「地域熱供給の長期ビジョン」の発表について

 当協会は、2月3日、大阪市内にて開催した「地域熱供給50周年記念式典」において、「地域熱供給の長期ビジョン」を発表しました。

 本ビジョンは、2030年、そして2050年に向け、地域熱供給がどのように進化し、低・脱炭素化や都市の強靭化などの社会課題の解決にどう貢献できるかについて、協会内にワーキンググループを設け、学識経験者の方々のアドバイスを頂きながら約2年間検討を行い、取り纏めたものです。

 本ビジョンでは、2030年時点において地域熱供給が提供できる温室効果ガス排出量削減等の社会的課題解決のソリューションを提示するとともに、2050年に向けて、地域熱供給が、その役割と強みを進化させて、脱炭素化やエネルギーの需給形態の変化に柔軟に対応するとともに、都市や街区の活性化と強靭化、街の魅力向上に資する新たなサービスを提供する「DTS」(District Total Service:地域総合サービス業)へ進化して行く姿を描いています。

 本ビジョンが、熱供給事業に携わる方々だけでなく、地域開発や分散型エネルギーシステムを構想する方々の参考として活用されることを祈念しています。

 
 

長期ビジョン策定の経緯、目的

 我が国で本格的な地域熱供給が始まり50年が経過した。地域熱供給はこれまで、大気汚染の防止、省エネルギーの推進、温室効果ガスの削減、ヒートアイランド現象の緩和など、その時々の社会課題解決に貢献し、現在、19都道府県において、75社の地域熱供給事業者により、134地域で事業が実施されている。

 現在、我が国では、低・脱炭素化、都市や街区の強靭化、地方経済の活性化等の社会課題への対応が求められている。2016年の熱供給事業法改正で自由化された熱供給事業としても、これらにどのように応え、事業を発展・進化させるべきかについて、個社を超え業界として検討すべきとの認識から、2018年2月に当協会内にワーキンググループを設置し検討を進めてきた。

 エネルギー関連システム改革を受け、市場での競争環境変化などエネルギーを取り巻く状況は大きく変化していくが、地域熱供給のポテンシャルを活かし、さらに進化させることで、社会課題の解決に貢献することが可能で、地域における多様なビジネスチャンスも生まれる。これらをビジョンとして取り纏め、熱供給事業者と共有するとともに、広く社会に対し発信していくこととした。

 
 

長期ビジョンの概要

1.社会課題の解決に貢献するDHCのソリューション(2030年)

 地域熱供給(DHC(District Heating and Cooling))が持つ強みと実績を活かして、以下の4つのソリューションを提供し、2030年に向けた社会課題の解決に貢献する。

 

  1. 低炭素・脱炭素社会への貢献
       ⇒「街区全体での低・脱炭素化ソリューション」
        * 芝浦工業大学の村上公哉研究室により、2030年の大都市、
         地方都市モデルの低炭素化シミュレーション試算を実施。(スライド1) 
  2. 再エネ大量導入時の電力需給調整への貢献
       ⇒「街区のエネルギーマネジメントソリューション」
  3. 災害時対応・都市強靭化への貢献
       ⇒「街区の強靭化ソリューション」
  4. 地方創生の取組への貢献
       ⇒「地方創生に向けたまちづくりとの連携」

 

 CO2排出量についての低炭素化シミュレーション試算では、2030年までの機器効率の向上等も考慮し、大都市モデルで2013年比43%以上、地方都市モデルで同46%以上の削減が可能との結果を得た。

 
 
2.DHCソリューションを実行する3つの役割

 DHCが提供するこれら4つのソリューションにおいて、DHCの役割は以下の三つに整理できる。 (スライド3)

 

  1. エネルギートランスレーター(エネルギー転換者)としてさまざまなエネルギーを有効に活用
    • 政策に対応したエネルギー転換が急速に進む中、エリア内の需要家設備や既存の地域導管を大きく変えることなく、状況の変化に応じて様々なエネルギーをコーディネートし街区へ供給することにより、エリア内の低・脱炭素化を実現する。
    • スケールメリットを活かした高効率なコージェネレーションシステム(CGS)や熱源機等の導入と、個々の建物では取り込み難い再エネ・未利用エネを導入し、地域全体で効率的に活用する機能を活かし、さらに低炭素な熱・電気を街区へ供給する。
  2. エリアエネルギーサービスプロバイダー(サービス提供者)として地域のエネルギー需給の最適化に寄与
    • 需要家との双方向性というDHCの特質を活かし、空調・給湯の熱需要や電力需要情報の受信、節電情報等の発信といった幅広い情報連携を行うことによって、需要家の低・脱炭素化に貢献する。
    • DHC保有設備を活用したDR対応に加え、需要家の負荷制御や需要家側のCGSや蓄熱槽等との連携を行うことにより、街区全体のDRやVPPを実現でき、今後の再生可能エネルギー大量導入時における大規模な電力需給調整に貢献する。
  3. レジリエンスサポーター(強靭化支援者)として地域の強靭化を支援
    • DHCが日常的に使用するCGS、蓄熱槽の槽内水、地域導管保有水等を活用し、災害時に電力・熱・水を供給することにより、街区の強靭化(BCD)に貢献する。
    • 災害復興時には、DHCに常駐する運転員が、地域の復興のサポート役を担うことで、まちの復興にも貢献する。

 
 
3.2030年以降のDHCの進化 

 現在、DHCにおいても、熱電一体供給への転換、お客様と連携したエネルギーマネジメントサービス提供等の動きが始まっている。DHCは、2030年以降、三つの役割を拡大し、地域の総合コーディネーター役を担いつつ、さらに進化していくことが期待される。
 すなわち、

  • 熱と電気、或いはその他のエネルギーも供給する「DHC+E(Energy)」
  • 情報連携によるエネルギーマネジメントを行う「DHC+EM(Energy Management)」
  • 熱と電気の制御を熱のお客様以外の地域全体に拡大する「DTE(District Total Energy)」
  • お客様の設備の運用・保守も含めて総合的にコーディネートする「TEC(Total Energy Coordinator)」  など、様々な形で進化していく。 (スライド5)

 

 そして、2050年、脱炭素化への急速な進展、少子高齢化と人口減少、都市集約化・複合化・多様化、「Society5.0」が描く未来社会への進化などが想定される社会においては、さらなる脱炭素化やエネルギー需給形態の変化に対応すると共に、ビッグデータを活用した都市や街区の強靭化や活性化、街の魅力向上に資する新たなサービスの提供を図ることにより、DHCは「DTS(District Total Service、地域総合サービス事業)」に進化していく。(スライド6)

 
 
4.2050年の社会における「DTS」のイメージ

 DTSは、そのプラントと3つの役割をコアとして、まちの中で人やものを総合的にサポートする。
そして、エネルギーネットワークとデータネットワークの結節点に立ち、複合化・多様化した都市のコーディネート役として、地域に密着した様々なサービスを提供することにより、地域と共に脱炭素社会の実現と賑わいのあるまちづくりを推進していく。(スライド7)

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

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